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ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2006
『ポチの告白』ワールド・プレミア上映レポート


夕張商工会議所。こんなふうに夕張の建物には内外の名画の看板がある。(撮影:tukaさん)

すっかり遅くなりましてスミマセン。

 2006年2月23日から27日まで開催された「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2006」のフォーラム・シアター部門で高橋玄監督作品『ポチの告白』のワールド・プレミア上映がありました。

 宮崎学さんは、警察に脅かされ警察犯罪を隠蔽する裁判長役で特別出演しています。
 2月26日日曜日11:30から夕張商工会議所にて、ぎっしり並べられた椅子は100席ほど。満席でした。

 外国人の観客もチラホラ。高橋玄監督は昨年『CHARON(カロン)』で同映画祭のファンタランド大賞を受賞しているので、期待して来ている人たちの熱気が伝わってきました。実際当日はこの季節には珍しく雪ではなく雨が降っていて、今冬の夕張は気温も高めなようでした。

チラシを貼り合わせた上映告知ポスター。
警察手帳を模した映画のチラシ。
中面には宮崎さんの「普段、脅す側やからね。脅かされる側の気持ちがよう判ったで」というコメントがある。

 高橋組の皆さんは、胸に「高橋組」、背中に「ポチの告白」のロゴ入りのスタッフジャンパー「刑事(デカ)ジャン」を着用しています。
ポチジャン背中。(撮影:tukaさん)
舞台挨拶。(撮影:tukaさん)  上映前に高橋監督、主人公の警察官竹田八生役の菅田俊さん、ジャーナリスト草間役の川本淳市さん、巡査役の舩木壱輝さんが舞台挨拶をしました。

 竹田八生は気のいいお巡りさんから警察犯罪にどっぷり浸かった刑事になっていくのですが、菅田俊さんは夕張入りする前の2月20日に、目白署から表彰された話をされました。
   「スリを捕まえまして」と照れて頭をかく菅田さん。スポーツ紙に「このところは“警官”づいているが、実生活でも大きな手柄をあげた」と記事が載ったそうで、会場を沸かせました。

 「上映時間は3時間15分ですから、トイレは大丈夫ですか」と高橋監督がお客さんに確認してから映画が始まりました。スタッフロールと同時にトイレに駆け込んだのは私です。スミマセン。
 上映後はティーチインがありました。警察犯罪エピソードはどれも実際あった話で、裁判官も実在する名前、という高橋監督の言葉に驚いた人が多かったように思いました。

 親切で住民のために汗水たらして頑張るお巡りさんとか、社会正義に燃える刑事など1人も登場しない内容は衝撃的だったらしく、信じたくないというような発言をした人もいました。

 警察ドキュメントなどでは絶対見られない警察犯罪のリアリティと、実力派俳優たちが揃うエンタテインメント性と、「アングラです」と菅田さんが言う舞台演劇的要素もありの3時間15分でした。

巡査役の舩木壱輝さん。「警察です」。
 宮崎さんもいろいろなところで発言していますが、警察犯罪の病理は警察とマスコミとのもたれ合いにあり、『ポチの告白』ではそのうんざりするような現実がこれでもかと見せつけられ、実際こんなのばっかりなんだろうなあ、と終いには笑うしかない酷さです。

 そんな救いようのない警察とメディアの癒着構造に一石を投じたのが、北海道警 VS 北海道新聞のタタカイで、その北海道で『ポチの告白』が初お披露目となったのも、何かこの映画の必然のように感じるワールド・プレミア上映でありました。(2006.4.1)

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