慰安旅行に行く前に
シモーヌ・オノ

 慰安旅行の目的は「コミュニケーションをよくする、親睦を深めるため」なんていうけれど、実態はセクハラ旅行じゃないか。

 社内の複数の女性から話を聞いて、魂消た。「新入社員のとき、旅館のエレベーターで、まだ名前も知らない人にいきなり抱きつかれた。」(こんなの痴漢行為で犯罪じゃないか)「女性をホステス代わりに隣に座らせる、お酌をさせる、ダンスを強要する、触る」「宴会の余興に野球拳をして、男は全裸、女は水着にさせられた。」「浴衣を強制的に着せて捲ったり、脱がせたりの破廉恥行為。」「女性が同席している場で、芸者をあげてのご乱交。」

 こんな事が「慰安」か。女性社員は「慰安婦」か。こんな状態が続くなら慰安旅行など廃止にしろ。許しちゃおけない、ボイコットだ!!或いはセクハラ問題を起こした人物は旅行に参加させるな。

 怒りついでに言ってしまえば、飲めない酒を強要する事だって止めて欲しい。だいたい公休を使う事だって疑問だ。行きたくない人は行かなくていい、希望者だけ行けるようにすればよい。大事な公休が、時間が勿体無い。

 中にはこの「公認セクハラセクハラ旅行」に慣れてしまったり、諦めていたり、自分が被害にあわないので平気な人もいるだろう。可哀想なのは、気が弱かったり、入社したばかりで「いや」と言えない人達だ。

 セクハラで嫌な思いをした人には、「あなたは悪くない、逃げろ、被害を人に話せ」という三原則を呼掛けたい。

 会社と組合は実態を調査し、セクハラ防止の教育をするべきだ。ホスピタリティももちろん大事だが、社員の人権に関わる問題なのだから。

 いたいけな新入社員に「三原則」を。そしてどんな行為がセクハラかわかっていない、或いは確信犯の卑劣なおじさんにも。

(1994.8)