皮膚の病気
アレルギー
ペットが自分の身体を異常に引っ掻くような場合は、
何かに対してアレルギーを持っている可能性があります。
ペットの中には1年のうち、特定の時期にアレルギーになる
ものがいますし、ごくまれにしかアレルギーにならないものや、
あるいは断続的にアレルギー症状が出るペットもいます。
ペットは、ノミによる咬傷、花粉、カビ、草、木、毛糸、タバコの煙、
特定の食物などにアレルギーを示すことがあり、ときには他の
ペットによってもアレルギーにが起こることさえあります。
アレルギーの主な症状としては、ペットが自分の皮膚を
引っ掻いたり咬んだりすることです。
これはアレルギーを誘発する物質(アレルゲン)の種類に
関係がありません。この結果、広い範囲にわたって皮膚が
損傷を受けることがあります。このように損傷を受けた皮膚は、
細菌による感染が非常に起こりやすくなります。
アレルギー性接触性皮膚炎
アレルギー性接触性皮膚炎は、アレルギー性皮膚反応の
ひとつで、ペットが横になったときに床や地面に触れる皮膚
の毛の薄い部分に起こります。この皮膚炎にかかりやすい
場所は、腹部、胸の下部、尾の下側、陰嚢、耳、あご、
足の裏側などです。かゆみの程度はさまざまですが、
激しく引っ掻いたり咬んだりしたくなるほどかゆくなることがあり、
その結果、皮膚が損傷を受けます。
ときには、傷ついた皮膚が細菌にようって感染することも
あります。プラスチック製の食器や咬み玩具などに反応して
この皮膚炎になるペットもいます。
この場合には、ただれ部分はあごと口の周りにだけ生じます。
犬のアトピー
アトピーは、激しいかゆみをともなう皮膚病のひとつで、
主にカビ、花粉、ほこりなどを吸いこむことによって起こります。
まれに、皮膚を通してアレルゲンを吸収したり、
アレルゲンを食べたりしたためにアトピーになることもあります。
アトピー犬は、発症しやすい体質を遺伝的に受け継いでおり、
シュナイザー、アイリッシュ・セッター、ボストン・テリア、
スコティッシュ・テリア、ウエストハイランド・ホワイト・テリア、
ケアン・テリア、ワイヤーヘヤード・テリアなどは、他の犬種に
比べてアトピーにかかりやすいのが普通です。
また、一般的には雄よりも雌のほうがかかりやすいといえます。
通常、アトピーが最初に現れるのは、だいたい1〜3歳くらいの
ときです。アトピーは、季節に関係したものと、そうでないものが
あります。アトピーの犬は、ほとんどの場合、最終的に季節と
関係なく症状が出るようになります。アトピーの犬のうち、
3/4は最初の症状が春から秋にかけて現れます。
アトピーの主たる症状は、かゆみです。
症状の出た箇所を咬んだり掻きむっしたり、あるいはそこが
細菌に感染したりして、皮膚が損傷を受けます。
アトピーが最初に現れやすい箇所は、顔、足、腹部です。
皮膚に問題が起こることのほかに、鼻水、喘息、白内障、
尿路障害や胃腸障害などもまれに起こることがあります。
犬のノミ咬傷アレルギー
ノミ咬傷アレルギーは、ノミの唾液に含まれている成分に
対して犬が過敏に反応する(アレルギー)ために起こる
病気です。アレルギーの犬の場合、1匹のノミに咬まれた
だけでもひどい症状を呈することがあります。
咬まれた箇所を犬が自分で咬んだり、なめたり、
引っ掻いたりすることによって、広い範囲の皮膚に損傷が
生じることがあります。
ノミ咬傷アレルギーは治療したとしても、
1)ノミの卵は環境中に産み落とされてから最高1年間位
たってから孵化するものもいる。
2)ノミの生活環の大半は犬から離れたところで起こる。
3)犬が生活している環境がノミで汚染されている
可能性がある。
4)ノミに咬まれるのがごくまれであってもアレルギー反応を
誘発させる可能性がある。
といった理由から再発することがよくあります。
ノミによるアレルギーが一番問題となるのは、
冬は寒く夏は暑い地方の夏から秋にかけての季節です。
温暖な気候の土地や、ノミが発生している家で暖房を
使っている場合には、ノミによるアレルギーは季節を問わず
1年中起こる可能性があります。
犬のノミアレルギーの主な症状は、異常に毛が抜け、
ひどく引っ掻いたり咬んだりするようになります。
ただれが一番多く見られるのは、尾の付け根、背中の後半部、
腹部です。
犬の皮膚と毛の手入れ
毛と皮膚は犬の一般的な健康状態を反映しています。
健康な犬の皮膚や毛に異常にみられることは滅多にありません。
犬の生活する環境を清潔にすることで、皮膚や毛の病気を防止
することができます。犬小屋の外を掃除していつもきれいにして
おくとともに、寝床も定期的にきれいなものに変えるようにして
ください。鉤虫やノミなどの寄生虫がいると、皮膚や毛に
悪影響が出る可能性があります。寄生虫の駆除については、
獣医師の勧める方法にしたがってください。
皮膚および毛の健康を含むペットの全般的な健康を保つうえで、
適切な栄養のバランスのとれた食事は欠かせません。
特定の栄養素が過剰または不足すると、病気の原因になります。
犬に与える食事について獣医師と相談してください。
獣医師が勧める食事に変更することで、病気を防止すること
ができます。日頃から定期的にペットにブラシをかけるように
しておくことで、皮膚や毛に関連した病気を予防するだけでなく、
何か問題がある場合でも、ひどくならないうちにそれを発見
できます。犬の場合は、必要に応じて入浴させ、いつも清潔に
しておくようにしてください。ただし、入浴をさせることによって、
本来硬くて針金のような毛を持つ犬種の毛は柔らかくなりますし、
毛の自然な脂が取れたり、毛並みのつやがなくなることも
あります。長毛の犬種の場合は、入浴させる前に毛のかたまり
があることに気がついたら、十分にブラシをかけてから入浴
させてください。かたまったり絡まったままの毛を水に浸けると、
入浴後、乾燥させたときにかえってほどけなくなってしまいます。
入浴後の毛づやを回復させて扱いやすくするための製品が
市販されています。獣医師に相談して、自分の犬に合った
シャンプーとリンスを選んでください。
犬種によっては、毛の手入れをするときに毛のカットと
ブラッシングの両方が必要な場合もあります。
また、特殊なスタイルの刈り方をする犬種もあります。
そのような犬の手入れは普通は専門家に頼みます。
自分で行う場合には、正しいやり方を本で調べてから
始めることをお勧めします。死んだ毛や毛のかたまりは
定期的に取り除いて、皮膚病の原因にならないようにします。
手入れを専門家に頼む代わりに自分で行う場合には、
以下に示した「すべきこと」と「してはいけないこと」を念願に
入れて作業をすると良いでしょう。
すべきこと
1.毛の手入れに必要となる設備と器具は、必ず適切なもの
を用意してください。作業をする部屋は、なるべく犬の気を
散らすものがないところを選びます。
作業台として、頑丈なつ作りのテーブルまたはベンチが
必要です。適切な道具を使えば、作業ははるかに楽に
行えますし、仕上がりも良くなります。
犬種によって必要となる道具にはどういうものがあるかを
調べて、品質の良い製品を買うようにしてください。
2.犬の毛の手入れは頻繁にかつ定期的に行うようにします。
犬を訓練して、毛の手入れを嫌がらないようにします。
犬はしっかりと押さえますが、犬ができるだけ快適に
毛の手入れを受けられるようにしてやることが大事です。
ほとんどの犬は、手入れをされているときに飼い主に
構ってもらうと喜びます。
3.毛の手入れをするときには、ペットの爪を切ること。
歯石がないかどうかを調べること、耳や眼や肛門周囲や
皮膚などを点検することなども忘れないようにします。
異常が見つかったときは獣医師に連絡してください。
4.ペットの眼が入浴時の石鹸の刺激によって炎症を
おこなさいようにするために、眼につける無刺激性の
軟膏があります。この軟膏の使用については、
獣医師に相談してください。
5.入浴時には犬の耳に脱脂綿などで耳栓をしてください。
してはいけないこと
1.犬の毛の手入れをするときは、短気をおこさないように
しなければなりません。犬が嫌がってうまく手入れが
できないときは、そので中止して後でもう一度やり直す
ようにします。
2.毛が絡まってかたまっているところをそのままにしては
いけません。毛の絡まりをやさしくほどいてから、
櫛やブラシですいてください。
これをしないと、毛のかたまりは大きくなります。
毛のかたまりを取るための特別な櫛が市販されています。
毛がかたまったところをハサミで切り取るときは、
皮膚を傷つけないように注意してください。
毛のかたまり方があまりひどい場合には、
全身の毛を刈らなければならなくなることもあります。
好酸球性プラーク
好酸球性プラークは、輪郭のはっきりした盛り上がった
ただれで、表面が隆起しています。
好酸球性プラークが最も多く見られのは、成猫の腹部
または大腿の内側です。
このただれは激しいかゆみを伴うため、猫はそこを終始
なめがちになります。好酸球性プラークができる原因は
まだ判っていませんが、不安や退屈から猫が単に
これらの箇所をなめるに過ぎないという可能性もありますし、
アレルギーが原因tも考えられています。
肛門周囲瘻(ろう)
肛門周囲瘻は、肛門近くの皮膚にできる異常な穴です。
このような瘻管や管は、普通は直腸につながっているか、
あるいはどこかの感染箇所(たとえば、肛門嚢膿瘍など)
につなっがています。この病気になると、痛みが生じ、
便秘や力みが起こります。
また、排尿排便をうまくコントロールできなくなること
もあります。肛門周囲にできた瘻管からは、
ひどい臭いの排泄物が出てくることがよくあります。
内科療法で症状を一時的に和らげることができますが、
通常は、手術による治療が必要です。
黒色表皮肥厚症
黒色表皮肥厚症は、皮膚病の一種で、通常は、
前肢の脇の下に最初に現れます。最初は小さな楕円形
の茶色の斑として現れますが、次第に色が濃くなり、
前肢、胸部、腹部、後肢に拡がっていきます。
病気が進行するにつれて、病気になった箇所の皮膚は、
黒っぽさを増すとともに、厚みも増して、
しわができ始めます。このようになった皮膚は不快な
臭いを発するようになり、触ると脂っぽく感じられます。
原発性の黒色表皮肥厚症は、ほぼダックスフントだけに
起こると言ってよく、なかでも若い犬がよくかかります。
おそらく遺伝によるものと思われますが、その原因はまだ
よく判っていません。
続発性の黒色表皮肥厚症は、どの犬種にも起こる
可能性があり、
1.肥満や皮膚のしわによって起こる脇の下の摩擦。
2.甲状腺、副腎、生殖腺(男性の睾丸、または
女性の卵巣)のホルモンの不均衡。
3.過敏症(アレルギー)
細菌性過敏症
細菌性過敏症は、特定の細菌が原因で起こる皮膚の
過敏症(アレルギー)です。この病気のペットは、
身体を激しく掻きむしり、その箇所が赤くただれて、
毛が抜け、皮膚の表面が鱗状になります。
最初は、こうした箇所があちらこちらにできますが、
次第にただれ部分が拡がり、それぞれがつながって、
患部が大きくなります。ただれた箇所は、真ん中が
黒っぽくて周辺が赤くなり、「牛の眼」によく似た状態
になります。細菌性過敏症のペットは、他の病気にも
かかっている可能性があります。
趾間膿皮症
趾間膿皮症は、肢に起こる感染で、特に後肢の指の間
に最も多く見られます。感染した小さなただれができた
後に、そこからウミ状のものが出てきます。
犬が患部をなめたり咬んだりすることで、
また、肢を清潔にしておくことが難しいので、
この病気は悪化することがよくあります。
この病気に最もよくなりやすいのは、ダックスフントや
イングリッシュブルドックなどの短毛犬種です。
この病気になった犬のなかには、最初の処置として
まず手術を必要とする犬もいます。
この病気になった場合は、必ず長期的に薬物治療を
行う必要があります。
肢端舐性皮膚炎(舐性肉芽腫)
肢端舐性皮膚炎は、同じところを繰り返し舐めること
によって起こる皮膚炎のひとつです。最初は毛抜けて
小さくはげた部分ができますが、そこを舐め続けていると、
厚みのある盛り上がったプラークができてきます。
この盛り上がった部分は、皮がむけて、炎症を起こし、
潰瘍化することがよくあります。
舐性肉芽腫は、ひとりぼっちで長い時間放っておかれる
犬によく起こります。自分の身体を舐める癖は、
犬が退屈さをまぎらわすために行う癖です。
この病気になりやすい犬種は、ドーベルマン、
グレートデン、ラブラドール・リトリーバー、
アイリッシュ・セッター、シャーマン・シェパードなどです。
基本的にはどの年齢の犬でも起こる可能性がありますが、
ほとんどの場合は、5歳を過ぎてからこの病気による
ただれが最初に現れます。身体の舐めすぎは、
ストレスによっても誘発されることがあります。
ストレスの原因としては、家庭に新しく加わったペットや
赤ん坊、家族の一員や一緒にいた犬の死または不在、
近くにいる「さかり」のついた雌犬などがあります。
長期間にわたってひとりだけでおかれたり、
閉じ込められている犬にとっては、不安やストレスの種は
尽きません。この病気は身体的なものというよりも、
心理的な病気であるということを理解することが大切です。
犬の環境について徹底的に分析して、原因を調べる必要
があります。
シュナウザー面皰(めんぽう)症候群 (シュナウザー背)
シュナウザー面皰症候群はミニチュアシュナウザーの背中
にある面皰(黒色面皰・・・ほこりや上皮の屑と皮脂で
できた黒い塊で、毛穴などを塞いでいる)ができることが
特徴です。黒色面皰が一番多くできるのは背中の中央
ですが、首や骨盤のほうにも拡がります。
この面皰は、触ってみると皮膚の表面に突き出た固い
かさぶた状のものであることが判ります。
この病気の原因は判っていませんが、遺伝的な毛穴の
異常発育によるこのでなないかとも考えられています。
脂漏症
皮脂は、特定の皮膚腺から出る正常な分泌物です。
脂漏症は、皮脂の分泌物が過剰になって乾燥した白み
がかった小片となって毛についたり、あるいは脂っぽい
ろうのような鱗状のものとなって皮膚や毛に付着する状態
をいいます。脂肪を含む物質である皮脂は時間が経つと
揮発性の悪臭を放つ物質に変化し、その結果、刺すような
不快な臭いを発するようになります。脂漏症は、独立した
病気として現れること、(原発性脂漏症)もありますし、
あるいは、別の病気が原因となって現れる(続発性脂漏症)
場合もあります。続発性脂漏症の場合は、原因となった
病気が治ると脂漏症も治ります。
一方、原発性脂漏症のほうは慢性の病気で、
症状を和らげることはできますが、完治することは
ありません。原発性脂漏症の原因は判っていません。
耳介の脱毛症
耳介の脱毛症は、耳に生えている毛が部分的にまたは
全部抜けてしまうことです。ダックスフントのなかには、
遺伝的に耳の毛が極端に細かくまたは薄くなる傾向の
ある犬もいます。そのようなダックスフントの場合は、
1歳にならないうちに毛が抜けているのがはっきりと判り、
8〜9歳くらいまでには完全に毛がなくなってしまいます。
この症状は、雌よりも雄のほうがよく現れます。
耳介の脱毛症は、そのほかにも、雌のホルモンの不均衡
や脂漏性皮膚疾患などに関係して起こります。
これらのケースでは、原因となる病気を治療すれば毛が
再び生えてくるのが普通です。
ミニチュア・プードルのなかには、大量の毛が耳から
一時的に抜けてしまう犬がいます。
この症状は耳の毛がほとんどなくなる位まで進行する
こともありますが、普通は3〜4ヶ月のうちに再び毛が
生えてきます。
耳介の皮膚炎
皮膚を食べる蝿に咬まれることによって耳介が炎症を
起こすことがよくあります。蝿に咬まれて起こる皮膚炎は、
主に屋外で飼われている犬の耳介、鼻粱、眼に起こります。
何箇所も蝿に咬まれると、皮膚が赤く炎症を起こし、
皮膚から血液や漿液(炎症時に出てくる透明な液体)が
にじみ出てきます。これらの血液や漿液は、乾くと黒っぽい
かさぶたのようになって皮膚の上に残ります。
こうしてただれた部分は、最後にはかゆくなります。
犬はかゆくなったところを掻くので、皮膚の傷はさらに
ひどくなり、細菌による感染を起こす可能性があります。
耳介辺縁の皮膚病
耳介辺縁の皮膚病は、脂っぽい小さな栓や鱗状の物質が
蓄積して耳介の縁の皮膚や毛にくっつく病気です。
こうした物質は、特定の皮膚腺から分泌が多すぎる場合
にできます。この病気はダックスフントに一番多く
みられます。ダックスフンの場合は、耳の毛が抜けることが
よくあります。他の犬種が、この病気にかかることはあまり
ありません。耳介辺縁の皮膚病は、耳に血液を送る血管内
の血栓が原因で起こることもありますが、たいていの場合は
原因がわかりません。重症になると、耳介辺縁が感染して、
皮膚が潰瘍を起こす場合もあります。ト
線状肉芽腫
線状肉芽腫は、幅が狭く細長い赤みを帯びた黄色い
ただれで、通常は1〜5歳の猫の後肢の裏側にできます。
毛の抜けかたは非常に少ないのが普通で、ただれ部分に
かゆみははほとんどありません。ごくまれに、唇、舌、
硬口蓋にも線状肉芽腫ができることもあります。
口にできる線状肉芽腫の原因は判っていませんが、
後肢の肉芽腫の場合は、その部分を舐めすぎると
できることがあります。また最近ではアレルギーとの
関連も研究されています。
天疱瘡(てんぽうそう)
天疱瘡は、動物の免疫システムが正しく機能しないため
に起こる重症の皮膚疾患群です。一般には、前肢と後肢
の脇の下にあたる部分、口、鼻、あるいは肛門や性器の
周辺などの皮膚に変化が起きます。
異常が最も多く見られるのは、口など身体の天然孔
周辺です。
天疱瘡の原因は判っていませんが、天疱瘡になった場合
は常に自己抗体の産生(動物の免疫系が、
自分自身の体細胞を攻撃する抗体を作ってしまうこと)
がみられます。
猫のアクネ(座瘡)
猫の顎には不潔なものがたまり、それが通常の皮膚
の分泌物と混ざります。そのため、毛穴がつます、
「黒色面皰(こくしょくめんぽう)」(ほこりや上皮の残屑
からなる黒っぽい塊が毛穴の出口をふさいでしまう)
ができます。
黒色面皰に感染が起こると、小さな膿疱(膿を含んだ、
皮膚の小さな盛り上がり)やただれができます。
この病気は、毛の伸び方にも、あるいは分泌物の
固まりやすさにも関係しているようです。
猫の心因性皮膚炎
心因性皮膚炎は、猫が皮膚を局所的に激しく舐める
ために起こる病気です。とげ状にざらざらした猫の舌が
皮膚に当たると、強い刺激が加わり皮膚が炎症を起こ
します。そのため敏感な神経の末端が剥き出しになり、
それがまた刺激を与えるので、猫は今までよりもっと
激しく舐めるようになり、その結果、皮膚の損傷がさらに
ひどくなります。猫が舐めるようになる原因は、
皮膚の炎症や感染、耳や肛門嚢の感染、
あるいは単に神経性の癖などが考えられます。
このように身体を舐め続けていると、最後には毛が抜けて、
皮膚の広い範囲に損傷が起きます。
家庭に新しいペットや赤ん坊が加わったり、
新しい生活環境におかされたり、よそに預けられたり、
いつも一緒にいたペットや家族の一員が死んだり、
近所の猫や不注意な家族の一員から脅かされたり
するなどの環境の変化によってもたらされる不安が
原因で心因性皮膚炎になることがよくあります。
この病気に最もかかりやすいのは、シャム猫と
アビシニアンです。
猫のスタッドテール
猫の尾の付け根には、いくつもの皮膚腺が集まって
います。猫のなかには(特に家の中に閉じ込められて
いるばかりいる猫の場合)、皮膚腺から分泌物が
皮膚の上に蓄積して、毛をかたまらせたり、
鱗状の殻のようなものが皮膚にたまってくる
ものもいます。この病気は去勢をしていない雄に
よくみられることから、「スタッドテール」
(「種雄の尾」という意味)と呼ばれます。
ただし、この病気は不妊手術を施した雄と雌にも
起こることがあります。この症状の現れている雄を
去勢しても、症状が治らないこともしばしばあります。
猫の日光皮膚炎
日光皮膚炎は、猫の白い耳に起こる日焼けです。
このような猫が日光に当たると、最初のうちは耳の
皮膚が赤く炎症を起こし、耳の先端の毛が薄くなります。
さらに日光に当たっていると、皮膚がむけてきて、
かさぶたができ、次第にそこがかゆくなってきます。
さらに日光が当たったり、猫が掻いたりすると、
皮膚の損傷はさらにひどくなります。
損傷を受けた耳の先端の皮膚は、きわめて感染
しやすくなります。猫のなかには、傷ついた部分が
皮膚癌(扁平上皮癌)になるものもいます。
猫のノミ咬傷アレルギー
ノミ咬傷アレルギーは、ノミの唾液に対して猫が過敏に
反応する(アレルギー)のために起こる病気です。
アレルギーの猫の場合、1匹のノミに咬まれただけでも
ひどい症状を呈することがあります。
咬まれた箇所を猫が自分で咬んだり、舐めたり、
引っ掻いたりすることによって、広い範囲の皮膚に損傷が
生じることがあります。
ノミ咬傷アレルギーは治療したとしても、
1)ノミの卵は環境中に産み落とされてから最高1年間位
たってから孵化するものもいる。
2)ノミの生活環の大半は猫から離れたところで起こる。
3)猫が生活している環境がノミで汚染されている
可能性がある。
4)ノミに咬まれるのがごくまれであってもアレルギー反応を
誘発させる可能性がある。
といった理由から再発することがよくあります。
ノミによるアレルギーが一番問題になるのは、
冬は寒く夏は暑い地方の夏から秋にかけての季節です。
温暖な気候の土地や、ノミが発生している家で暖房を
使っている場合には、ノミによるアレルギーは季節を
問わず1年中起こる可能性があります。
猫のノミアレルギーの主な症状は、異常に毛が抜けて、
赤茶色のかさぶたを伴う小さな赤い丘疹ができることです。
ただれが一番多く見られるのは、首の周り、背中の後半部、
尾の付け根、腹部です。
猫の皮膚と毛の手入れ
いくつかの基本的な事柄を守って行えば、猫の毛と皮膚の
手入れは難しくあrません。以下に示したガイドラインは、
どの猫の場合にもあてはまる一般的なものです。
1.毛と皮膚は、猫の一般的な健康状態を反映しています。
健康な猫の皮膚や毛に異常が見られる率ははるかに
少ないといえます。
2.ノミや回虫などの寄生虫は、皮膚や毛に悪影響を
与えます。寄生虫の駆除については、獣医師の勧める
方法にしたがってください。
3.健康な皮膚および毛を保つには、栄養のバランスの
とれた食事が欠かせません。
猫に与える食事について獣医師と相談してください。
4.日頃から定期的にペットにブラシをかけるようにして
おくことで、皮膚や毛に関連した病気を予防する
だけでなく、何か問題がある場合でも、
ひどくならないうちにそれを発見できます。
5.猫の場合は、それほど頻繁に入浴させる必要は
ありません。入浴させる必要があるときは、
刺激の少ないシャンプーを使うようにし、シャンプーが
残らないようによくすすいでから、タオルとヘアードライヤー
を使って素早く乾燥させます。
6.長毛の猫も短毛の猫も定期的にブラシをかける
必要がありますが、長毛の猫の毛には毎日必ず
櫛を入れるようにしてください。短毛の猫の場合は、
少なくとも1週間に1回はブラシをかけてください。
品質の良いステンレス製のペット用の櫛(ブラシ)を
使って、毛をやさしくすくようにしてください。
毛のかたまりができやすい箇所(耳の裏側、
前肢の下側、胃の上のあたりや後肢、尾の裏側など)
は特に入念にブラシをかける必要があります。
以下に、「すべきこと」と「してはいけないこと」を
いくつか挙げておきます。
すべきこと
1.飼い主が定期的に毛の手入れをするのを嫌がら
ないように、猫を訓練します。この訓練は、猫がまだ
幼いときに始めます。毛の手入れを猫にとってできる
だけ快適なものにするために、猫の扱い方はやさしく
かつ根気強く行う必要があります。
2.毛の手入れをするときは、ペットの爪を切ること。
歯石がないかどうかを調べること、耳や眼や肛門周囲
や皮膚などを点検することなども忘れないようにします。
異常なことが見つかったときは獣医師に連絡してください。
してはいけないこと
1.猫の毛を手入れをするときは、短気をおこさないように
しなければなりません。猫が嫌がってうまく手入れが
できないときは、そこで中止して後でもう一度やり直す
ようにします。飼い主が怒りだしたりかんしゃくを起こすと、
猫は毛の手入れをされることに抵抗するようになって
しまいます。
2.毛が絡まってかたまっているところをそのままにしては
いけません。毛の絡まりをやさしくほどいてから、
できるだけ力をかけないで櫛やブラシですいてください。
入浴させる前に毛のかたまりがあることに気が付いたら、
必ずそれを取ってから入浴させてください。
毛がかたまったまま水に浸けると、かえってほどけなく
なってしまいます。毛がかたまったところをハサミで
切り取るときは、皮膚を傷つけないように注意して
ください。長毛の猫の場合、毛のかたまり方が
ひどくなって、全身の毛を刈らなければならなくなる
こともあります。
膿皮症
ウミを作り出す細菌が原因で起こる皮膚の感染は膿皮症
と呼ばれます。膿皮症には、皮膚の一番外側の層だけが
感染するもの(表層性膿皮症)と、皮膚の内容だけが感染
するもの(深層性膿皮症)があります。
これらの感染が起きたときは、入念な治療が必要となります。
ときには、いくつかの治療法を組み合わせて、
長期間にわたって治療を行わなければならないことも
あります。膿皮症は治療が特別に難しい場合もあります。
ときには、回復の見込みがほとんどないようなケースも
あります。また、感染の原因となった細菌が抗生物質に
対して強い抵抗力を持っていることもごくまれにあり、
そのような細菌に対して効果のある薬を見つけるのは非常
に困難です。皮膚の細菌培養を何回も行わなければ
ならない場合もあります。場合によっては、1回か2回手術
を行うこともあります。
膿瘍
膿瘍とは、細菌感染によって生じた膿(うみ)のつまった
袋状の組織です。このような感染個所は回りを硬い組織
が取り囲み、ちょうど厚い膜の風船の中に液体を満たした
のと同じ状態になっています。
膿瘍は、小さいものから大きいものまであり、数も1つの
場合もありますし、複数の場合もあります。
皮膚に膿瘍ができると、その部分は熱をもって赤く腫れ
あがり、痛みを生じます。針などの尖ったものによって
生じた怪我、引っかき傷、咬み傷などが原因で膿瘍が
できることがあります。このような傷が皮膚の表面で
短時間に塞がると、皮膚の下に細菌が閉じ込められ、
そこで増殖し、炎症反応の結果、膿瘍を形成します。
ハイグローマ(肘腫)
肘のハイグローマは、セントバーナード、グレートデン、
アイリッシュウルフハウンド、グレーハウンドなどの
大型犬種に最も多くみられます。ハイグローマは犬が
比較的若いときにできるのが普通ですが、歳をとった犬に
できることもあります。ハイグローマは、犬が硬い床の上で
横になることで、肘が繰り返し刺激を受けることによって
起こります。中に液体を含んだ袋状のものが
肘にできたあとに、犬が硬い床の上で横になることを
止めないでいると袋がどんどん大きくなっていきます。
腫れたところは、最初痛みはありませんが、そのうちに
ちょっと触っても痛みを覚えるようになって、
炎症を起こします。ハイグローマを治療しないでそのまま
放っておくと、潰瘍化し最後にはその下の骨にまで影響を
及ぼす場合もあります。
鼻および趾の角化亢進症
鼻および趾の角化亢進症は、鼻および肢パッドの表面が
異常に厚くなる病気です。原因は判っていません。
鼻や肢パッドが乾燥して固くなってきます。この症状が進むと、
固くなったところがひび割れしてきます。肢の裏には痛みが
生じることもあります。皮膚の異常な成長を抑えるための
治療を行います。
鼻の日光皮膚炎(コリーノーズ)
鼻の日光皮膚炎は、人間の場合の日焼けと良く
似ています。この病気は、コリー、シェットランドシープドッグ
およびそれに関係する犬種に最もよく見られることから、
通称「コリーノーズ」と呼ばれています。
コリーノーズになるのは、次の3つの条件が満たされたときです。
1)この病気になりやすい傾向を遺伝的に受け継いでいるとき。
2)鼻の部分の皮膚の色素が薄いとき。
3)長時間日光に当たったとき。
鼻を繰り返し日光にさらしていると、皮膚が細菌に感染したり、
皮膚癌になる(あるいは、その両方)ことがあります。
皮膚糸状菌症(白癬)
皮膚糸状菌症は、真菌(カビ)によって起こる皮膚の病気で、
一般的には白癬と呼ばれています。
この真菌(皮膚糸状菌症)成長するにつれて、皮膚の病変は
円形状に外側に拡がっていきます。真菌は、土の中や動物
あるいは人間の身体にいることがあります。
ペットは、それらのいずれかからの感染を受け、
さらにそれを他の動物や人間に移す可能性があります。
真菌に感染すると、まず毛が抜けてはげた箇所が1つ
または複数発生します。そこが赤くなったり、炎症を起こして
いることもあります。感染が進むにつれて、毛が抜けた部分
には痂皮(かさぶた)ができ、このような発疹の数が増える
とともにサイズも大きくなり、しまいには皮膚の広い範囲に
病気が拡がっていきます。一見正常に見える犬のなかにも、
この病気を保菌している犬がいることがあります。
皮膚の嚢腫
皮膚の嚢腫は、皮膚にできる袋状の異常な組織で、
犬ではよくみられます。猫ではあまりみられません。
一部の嚢腫(類表皮嚢腫)は、特定の犬種で先天的
(誕生時にすでに存在する)または遺伝性(あるいは、
その両方)が見られます。嚢腫ができる原因は、
皮膚を作る細胞が正常な位置から移動してしまったり、
毛穴がなくなったり塞がったりすることです。
ほとんどの嚢腫は、灰色または白色がかった茶色をした
チーズのようなものが中に入っており、最初は小さな
ふくらみか結節として現れます。時間が経つに連れて、
その大きさも大きくなり、炎症や感染を起こしたり、
痛みやかゆみを生じることがあります。
一ヶ所の皮膚にいくつかの嚢腫ができることもあります。
皮膚に嚢腫ができたときは、手術をして取り除くことを
お勧めします。
べんち(たこ)
べんちは、部分的に毛が抜けて厚くなった皮膚で、
骨の上にクッションとなるような組織があまりないような
部位に圧力がかかると生じるものです。
べんちがよくできるのは、大型犬の肘やくるぶしの関節
などです。大型で体重の重い犬が硬いところに座ったりすると、
肘やくるぶしの関節(あるいは、その両方)の皮膚が硬い床と
骨の間で押し潰されます。このように押し潰された皮膚は、
やがて厚みを増してきて固くなり、最後にはべんちになります。
べんちは見苦しいものですが、普通は特に害はありません。
ごくまれにですが、べんちが感染したり、中に液状のものが
たまったりすることがあります。
その場合は、手術をして治療する必要があります。
無痛潰瘍(好酸球性肉芽腫)
無痛潰瘍は、最初は鼻のすぐ下の上唇に傷口の開いた
小さなただれとして現れます。ただれの中心部は、
(あたかも、えぐりとったかのように)潰瘍化した外観を
呈しています。これを治療しないでおくと、通常は、
ただれは大きく深く拡がっていきます。重症の場合は、
上唇全体がただれ、さらに口の中にまでただれが拡がる
ことがあります。無痛潰瘍は、ごくまれに上唇以外の場所
(たとえば、後肢)にもできることがあります。
これらのただれは、その名が示すとおり、痛みを伴わない
のが普通で、5〜6歳の雌猫によくできます。
原因は判っていませんが、潰瘍が拡がるのはおそらく
猫が終始なめるためであろうと考えられています。
最近は、原因としてアレルギーが考えられています。
まれに、これらの、潰瘍が癌化(扁平上皮癌)することが
あります。

戻る