眼の病気

潰瘍性角膜炎
     
角膜というのは、眼球の前面にある透明な層です。
      厚さが1ミリにも満たないほど薄い角膜は、
      複雑な構造のいくつかの層からできています。
      角膜は、身体のなかでもいちばん敏感な部分で、
      眼の外側および内側からの刺激物に対して
      すぐさま反応を起こします。
      潰瘍性角膜炎は、角膜の層のうち1つまたは
      複数の層(外側の層から始まって次第に内側
      の層へと)に障害が生じたために角膜が炎症
      を起こすことです。障害(潰瘍)の程度は、
      かすったりこすったりした程度の浅いものから、
      角膜のすべての層を突き破るほどの非常に
      深いものまでさまざまです。潰瘍の達する
      深さが深いほど、視力が失われる程度も
      ひどくなります。
      角膜の潰瘍の原因となるものは、外傷、感染、
      生まれつきの虚弱体質、栄養不良などがあります。
      いったん角膜に潰瘍が生じると、角膜は急速に
      変質していく可能性があります。

角膜炎
      角膜炎は、眼球の前面にある透明な層(角膜)が
      炎症を起こす(感染による場合とそうでない場合が
      あります)ことです。角膜炎は、視力に重大な影響
      を与えることがあります。
      角膜は、4つの異なる層からできており、
      厚さは1ミリに満たない薄いものです。正常な角膜は、
      血管や色素を含んでいないので透明です。
      角膜が病気やけがをすると、くもってきたり、
      色がついたり、血管が出てきたり、
      潰瘍ができたりします。
      角膜炎になる原因としては、けが、刺激、免疫反応
      やアレルギー反応、感染、生まれつきの欠陥などが
      あります。角膜炎は、影響を受けている角膜の層
      および変形の形や種類によって、いくつかのタイプに
      分けられます。たとえば、表層性、間質性、深層性、
      潰瘍性、色素性、点状性、異栄養(ジストロフィー)性、
      アレルギー性、変性性などの角膜炎があります。

角膜の損傷
      角膜は、眼球の前面をおおっている透明な組織です。
      角膜は、厚さが1ミリに満たない薄いものですが、
      いくつかの複雑な層からできています。角膜は、
      動物の体のなかでも最も敏感な部分で、眼の外部や
      内部の刺激物質に対してすばやく反応します。
      角膜の透明度を決定する要因はいくつかあります。
      これらの要因がけがや病気によって影響を受けると、
      角膜の透明度が失われて部分的または全体的に
      くもってくる原因になります。
      角膜をくもらせる原因としては、外傷(きず)、
      アレルギー反応、感染、先天的な欠陥、
      化学物質やその他の刺激物質などがあります。

角膜パンヌス
      角膜パンヌスは、眼球前面の透明な部分(角膜)が
      だんだんと変性する病気です。この病気は主として
      ジャーマン・シェパードにみられますが、
      他の犬種でもかかることがあります。
      病気が進行すると、外側の角膜層に血管や色素や
      かさぶたが現れます。この状態をほうっておくと、
      角膜の透明度が失われて、完全に盲目になって
      しまうことがあります。
      角膜パンヌスの原因は、まだ完全に判っていません。
      身体が自分の角膜細胞を認識できず、
      それを攻撃してしまうアレルギー反応が原因では
      ないかともいわれています。角膜を日光にあてすぎる
      ことも原因の1つとして考えられていますが、
      まだ医学的な証明はなされてはいません。
      特定の系統の動物には起こりにくいことから、
      遺伝性の病気ではないかとも考えられていますが、
      これについてもまだ証明はされていません。

乾性角結膜炎(ドライ・アイ)
      涙の分泌がなくなったり少なくなることにより
      乾き眼(乾性角結膜炎)が発生します。
      眼の前面にある層(角膜)が乾燥して、
      痛みを覚えるようになります。ひどい場合には、
      視力を失うこともあります。涙はおもに2つの
      ところから分泌されます。1つは、左右それぞれの
      眼球の上にある涙腺で、もう1つは、まぶたも含めた
      眼の前面一帯に分布している副涙腺です。
      これらの涙腺が病気になったり破壊されたりすると、
      涙の分泌量が異常に少なくなることがあります。
      個々のケースによっては、正確な原因が判らない
      こともありますが、典型的な原因としては、
      外傷、化学物質、感染、腫瘍、神経の変性、
      免疫反応などがあります。

眼球突出
      眼球突出は、眼球が異常に飛び出して、
      剥き出しになることです。鼻が低く眼が大きい
      小型の犬種では、眼球突出は異常なことではなく、
      眼が飛び出した状態は生涯を通して変わりません。
      眼球突出であっても、そのことによって眼が損傷を
      受けなければ、特に矯正する必要はありません。
      ただし、なかには、眼球が剥き出しになって乾いて
      しまうために、眼球の前面に傷がつくペットもいます。
      また、ごくまれに、眼が極端に飛び出しているケース
      では、瞬きをするときや睡眠中にまぶたを完全に閉じ
      られなくなるために、角膜が重大な損傷を受けること
      もあります。
      一過性眼球突出と呼ばれる眼球突出の一種が若い
      ジャーマン・シェパードにみられることがあります。
      これは、子犬が成長するに連れて自然に治っていきま
      すので、治療が必要になることはほとんどありません。
      異常な眼球突出は、腫瘍、膿瘍、唾液腺嚢腫などが
      原因となって起こります。ただし、実際のケースでは
      なかなか原因を突き止めることができない場合もありま
      す。X線写真、臨床検査、吸引生検法(注射針を使って
      体液を吸い出す)、組織の切片の顕微鏡検査などに
      よって診断を行います。

眼球摘出
      眼球摘出とは、手術によって眼球を取り除くことです。
      眼球摘出は、非常に深刻な眼の病気やけがの治療で、
      どの治療法を用いても治せず、かつ、そのままにしておくと
      ペット自体に害をおよぼす事(癌があったり、腐ってくる等)
      が明らかになったときにとられる最後の手段です。
      現在では外科技術が進歩しているので、眼球摘出によって
      顔が醜くなることも少なく、また、ペットが不快感を味わわず
      にすむようにすることもできます。眼球を取り除いた後は、
      上下のまぶたを縫い合わせて閉じてしまいます。
      動物を殺すよりは、このような処置をするほうがはるかに
      好ましく、人間的であるといえます。手術の傷が完治すると、
      ほとんどの動物では、眼球があったころの皮膚にわずかな
      傷と浅いくぼみが残るだけです。毛が長いペットの場合は、
      いろいろなグルーミング手法を使って眼球を摘出したあとを
      隠すこともできます。動物は、片眼でものを見ることにうまく
      慣れていきます。

眼球癆(がんきゅうろう)
      眼はいくつかの部分からできています。それぞれの部分が
      正しく機能している限り、眼の色、大きさ、形などは正常な
      状態を維持し、動物はものを見ることができます。
      眼ひどい損傷を受けたり病気になると、これらの部分の
      一部または全部の組織が線維組織(かさぶた)に置き代わ
      ってしまい、うまく機能できなくなります。その結果、
      眼は正常の働きをしなくなり、ときには縮んでしまうことさえ
      あります。
      機能低下につながるこうした退行変化が起こるには、
      数日から数週間かかります。病気がさらに進行するに
      連れて、眼は小さくなったり変形してきたりして、
      場合によっては完全に失明してしまうこともあります。
      このようにして失明する状態になることを、
      眼球癆(がんきゅうろう)といいます。
      眼が感染していなければ、通常は痛みを伴うこともなく、
      またペットの全般的な健康に危険を及ぼすことも
      ありません。

眼瞼炎
      眼瞼炎は、まぶたに炎症が起こることです。この炎症は、
      感染による場合とそうでない場合があります。まぶたには、
      眼の健康を維持するために必要な特殊な構造が数多く
      あります。
      眼を保護するためにまつげが生えてくる毛包のほかに、
      特殊な分泌腺が油や粘液を分泌して眼の潤滑をよくします。
      このような組織が病気になると、まぶたに不快感が生じ、
      正しく機能できなくなります。眼瞼炎の原因としては、
      外傷(けが)、感染、寄生虫、生まれつきの欠陥、
      アレルギー反応、自己免疫疾患(自分自身の組織が
      自己の免疫機構によって破壊的な影響を受けること)、
      栄養不足などがあります。

眼瞼外反症
      眼瞼外反症は、まぶたが外側に反り返って(外転)
      しまうことです。
      外反症は、見た目にもあまり好ましくないばかりでなく、
      まぶたや眼球の内側をおおっている敏感な粘膜が
      刺激物質に対して剥き出しになるので、
      刺激を受けやすくなります。
      また、涙が蒸発しやすくなるので、眼球が乾燥して
      しまいます。あるいは、まばたきをしたときに涙が
      眼球上に広がらないために、うまく潤滑が行われなる
      こともあります。なかには、まぶたが外に反転しているのが
      正常であり、また、そのことによって特に障害が起きない
      犬種もあります。しかし、それ以外の犬の場合は、外反症
      は奇形であり、害があります。外反症を引き起こす
      原因としては、遺伝的な要因、出生時の欠陥、
      損傷などがあります。

眼瞼内反症
      眼瞼内反は、まぶたが内側にめくれてしまうことです。
      眼瞼内反になると、眼球の前面にある敏感な層(角膜)
      がまつげによってこすられるため、
      不快感や痛みが生じます。
      眼瞼内反が原因で、眼に重大な損傷が起きることも
      あります。
      眼瞼内反になる原因としては、生まれつきの欠陥、けが、
      その他の眼の障害などがあります。
      眼瞼内反は、永続的な場合もありますし、
      一時的なものである場合もあります。
      生後2週間ほどで眼が
      あきますが、それ以後であれば、どの年齢でも眼瞼内反が
      起きる可能性があります。

眼内炎と全眼球炎
      眼内炎と全眼球炎はよく似た病気ですが、
      全眼球炎の場合のほうが、より広い範囲にわたって病気
      になります。
      眼内炎は、虹彩、レンズ、網膜およびそれらに関連した組織
      に激しい炎症が起こることです。
      全眼球炎は、眼全体とその周囲の組織に起こる激しい
      炎症です。どちらの場合も、かなりの痛みをともないます。
      また、これらの病気になった結果、盲目になってしまうことも
      よくあります。
      これらの病気になる原因は、眼のけがや感染です。
      これらの病気で注意しなければならないのは、
      感染が眼から脳にまで広がる可能性があることです。
      脳が感染すると、もっと深刻な病気(髄膜炎や脳炎など)
      になってしまう危険があります。

球後膿瘍
      球後膿瘍とは、眼球の裏側に膿(うみ)がたまることです。
      通常、傷口から侵入した細菌や、身体のほかの部分から
      血液によって運ばれてきた細菌が原因となってこの病気に
      なります。
      この病気の徴候としては、眼球が飛び出したり、
      口を開けたときに痛みを感じたりします。
      時間が経つに連れて、症状は悪化します。
      ものを噛むと激しい痛みが走るため、食事をまったく
      食べなくなるペットもいます。
      球後膿瘍になると潰瘍や唾液腺嚢胞とまったく同じ徴候を
      示すこともあるため、診断が難しい場合もあります。
      診断するには臨床検査、X線検査、
      体液サンプルの分析などを行います。

強膜炎
      強膜とは、眼球の外側をおおっている膜です。
      その膜の外側の薄い層を上強膜といいます。
      強膜炎は、この薄い膜が炎症を起こすことです。
      炎症が起こると、透明な角膜の周辺部に動かない小さな
      こぶまたは節状のものが現れます。
      また、腫れ物のようになって角膜の周辺のより広い箇所に
      できることもあります。
      強膜炎は、複雑なアレルギー反応によって起こると
      考えられています。
      アレルギー反応がひどい場合には、小さな血管が角膜の
      なかにいくつも出てきて、その結果、角膜がくもってくる
      ことがあります。
      強膜炎は、腫瘍に似ているばかりでなく深刻な病気に
      発展する可能性があることから、軽く考えることのできない
      病気です。
      強膜炎になっても、ペットの膜が永続的な損傷を受ける
      ことはめったにありませんが、眼に好ましくない刺激を
      与えることにはなります。

牛眼(眼球腫大)
     
牛眼とは、眼球がふくらんで大きくなる病気です。
      牛眼は、眼球内の圧力が長期にわたって異常に高くなる
      病気(緑内障)の末期に現れます。
      いったん眼球が膨れ上がると、それ以降はずっと目
      が見えなくなります。
      眼球が大きくなると、痛みを伴うこともあります。
      痛みが生じているときの徴候としては、あまり遊ばなく
      なったり、ふさぎこんだり、問題があるほうの眼を
      こっすたりします。
      まれにですが、眼球内の圧力が自然に下がって、
      痛みが消えてしまうことがあります。
      このようになった場合、他の病気が併発しないかぎり、
      またペットの眼が多少不自然な外観になることを飼い主
      の方が気にさえしなければ、ペットは最小眼の治療を
      受けるだけで特に支障のない生活を送ることができます。

結膜炎
      結膜は、まぶたの内側の表面にあるピンクの色の組織で、
      眼球の前面部分(透明な角膜部分を除く)をおおって
      いるものです。
      眼を保護するための層である結膜には、
      特殊な分泌腺があり、そこから眼を健康な状態に
      保つ助けとなる分泌液が出されます。
      結膜は、細菌や異物や化学物質などのような
      刺激作用をもつ物質によって、赤くなったり、
      腫れ上がったり、傷つけることがあります。
      このように結膜が炎症を起こすことを結膜炎といいます。
      また、先天的な欠陥、重症の内臓疾患や
      アレルギー反応などが原因となって結膜炎に
      なることがもあります。

後眼房の障害:後天性
      後天的な後眼房の障害とは、生後に眼球後部に生じる
      異常のことです。
      後天的な後眼房障害のうちで遺伝的な原因によるもの
      としては、進行性網膜萎縮(PRA)、
      中心性進行性網膜萎縮、および昼盲症があります。
      遺伝以外の原因による障害としては、炎症性、
      栄養性、血管性(血液障害による)、
      外傷性(けがによる)、または腫瘍性(癌その他の
      腫瘍による)のものがあります。
      後天的な後眼房障害が原因で起こる失明の程度は、
      部分的または一時的(またはその両方)なものから
      完全または永続的(またはその両方)な
      盲目状態までさまざまです。

後眼房の障害:先天性
      先天的な後眼房の障害とは、生まれる前からすでに
      存在している眼球後部の異常のことです。
      原因は、遺伝的による場合もありますし、
      あるいは遺伝的な病気以外の病気、毒物、栄養不良、
      放射線、薬物または感染などによって障害が起きる
      こともあります。
      先天的な後眼房の障害としては、コリーアイ症候群、
      シェルティーアイ異常、多発性眼球異常、硝子体網膜の
      形成異常、網膜の形成異常、視神経乳頭欠損症、
      視神経の発育不全などがあります。

コリーアイ異常
      コリーアイ異常(CEA)は、コリー犬にみられる遺伝性の
      不治の障害です。
      この障害は、犬が5〜8週齢の頃に特殊な眼の検査器具を
      使って発見することができます。
      この異常は、両眼に現れますが、片方の眼がもう一方
      よりも障害がひどい場合もあります。
      網膜が剥がれてこない限り、この障害は犬が年を
      とっても悪化することはありません。
      障害が重度な場合には、網膜の剥離が起き、
      剥離が起きたほうの眼は見えなくなります。
      ただし、網膜剥離はめったに起こらないので、
      あまり心配する必要はありません。
      コリーアイ異常がある犬の視力は正常な
      視力よりも弱くなりますが、障害の度合が本当に
      深刻でなければ、犬の行動を見ただけでは異常が
      あるかどうかは判断できないのが普通です。
      つまり、コリーアイ異常があるコリー犬でも、
      たいていは普通の生活をするのに十分な視力を
      持っているということです。
      コリーアイ異常があることに気が付かずに、
      そのままにしているケースも数多くあります。
      コリーアイ異常が起きる確率を少なくするには、
      正常な犬を慎重に選んで繁殖する以外方法は
      ありません。
      この病気は、常染色体劣性形質と呼ばれる遺伝を
      します。つまり、父親と母親の両方共がこの病気を
      遺伝的に持っている場合にだけ、子供にこの病気が
      現れます。

瞬膜腺突出(チェリーアイ)
      第三眼瞼(瞬膜)は、左右の眼の鼻に近いほうの隅の
      まぶたと眼球の間にあります。
      瞬膜は、眼を保護するとともに、涙をためたり、
      角膜の上に涙を拡げる働きをします。
      また、瞬膜には涙を分泌する腺もあるので、
      眼全体の潤滑を良くする働きもあります。
      瞬膜腺は瞬膜の内部にあるのが普通ですが、
      ときにはこの腺が瞬膜の端から飛び出してくる
      ことがあります。
      その結果、露出した過敏な組織が刺激を受けて炎症を
      起こし、ペットに痛みや不快感を与えます。
      赤く腫れ上がった組織が「さくらんぼ」によく似ている
      ところから、通常、この病気は「チェリーアイ」
      (さくらんぼの眼という意味)と呼ばれます。

瞬膜弁
      瞬膜弁というのは、手術の方法1つで、通常の眼帯の
      代わりに第三眼瞼などの内部眼瞼(瞬膜)を一時的な
      「生きた」眼帯として使って眼球を保護することです。
      この方法を使うことによって、回復を早め、
      角膜の損傷を防ぎ、痛みを少なくすることができます。
      この手術を受けると、普通なら眼球が見えるところが
      ピンク色の第三眼瞼でおおわれます。
      第三眼瞼は縫糸で固定されていますが、
      この糸は見えることもありますし、見えないこともあります。
      また、場合によっては、一番外側のまぶたの一部が
      縫われていることもあります。
      この手術を受けたペットは、一時的に片目しか見えなく
      なりますが、ペットはその状態にすぐ慣れますので
      心配する必要はありません。

小眼球症
      小眼球症は、眼が正常の大きさよりも小さいことです。
      小眼球症になる原因の一つとしては、胎子期の眼の
      発育異常があります。
      しかし、ほとんどの場合は原因がわからないのが実情です。
      小眼球症は、小型犬のある特定の系統(たとえば
      トイ・プードル、 ミニチュア・プードル、
      ミニチュア・シュナイザー、ポメラニアンなど)に
      よくみられます。
      このことから、何らかの遺伝的要因が影響して
      小眼球症になるのではないかと考えられています。
      小眼球症は猫にもみられます。
      また、コリーアイ症候群などのような遺伝的な網膜障害と
      一緒に起こる場合もあります。
      小眼球症であっても、眼の構造に異常がなければ、
      ものは見えます。眼の内部構造に異常がある場合は、
      視力がまったく無いこともあります。

睫毛重生と睫毛乱生(睫毛:ショウモウ)
      睫毛重生とは、まぶたの縁の普通はまつげの生えない
      ところに余分なまつげが生えてしまう異常な状態を
      いいます。
      この病気は基本的には遺伝によるものですが、
      眼に長い間刺激が加わることによって、必要ないところに
      まつげが生えてきてしまうこともあります。
      睫毛重生と似たものに睫毛乱生(さかまつげ)があります。
      さかまつげの場合は、まつげの生える場所は正常ですが、
      内側に向かって生えるので眼球にあたります。
      睫毛重生や睫毛乱生になると、涙がたくさん出るように
      なり、痛み・不快感が生じ、眼に重大な傷を与えることに
      なります。ただし、睫毛重生や睫毛乱生になっていても
      不快感やその他の支障が起きないこともあり、
      その場合には治療を行う必要はありません。
      ちょっと見ただけでは発見できないような早い時期の
      眼の損傷でも、特殊な光学機械を使えば発見できます。
      それだけ治療も早く行えるので、傷もひどくならずに
      すみます。

進行性網膜萎縮
      進行性網膜萎縮(PRA)という病名は、似たような特徴を
      もつ複数の眼病からなる1つのグループに対して
      与えられた名前です。
      この病気になると、痛みや不快感は生じませんが、
      失明してしまいます。
      萎縮というのは、小さくなって消耗してしまうことを
      意味します。
      PRAの症状が進むのは動物が生まれた後ですが、
      一部の種では、
      この病気は両親から遺伝することが判明しています。
      この病気にかかる箇所は、眼の奥の裏側にある網膜です。
      網膜には光に敏感に反応する杆状体と錐状体があり、
      これらの器官によって光が電気的な信号に変えられて
      脳に伝えられます。
      網膜はカメラのフィルムと同じ働きをするもので、
      その上に映像を写し出します。
      PRAは、すべての犬/猫種にみられる病気です。
      ある種の犬/猫では、比較的若い時期に病気が発現し、
      その後何年間かのうちに完全に失明します。
      初期段階の徴候としては、薄暗い光の中では
      ものが見えなくなります。
      この病気はゆっくりと進行するので、ほとんどの
      ペットは視力を失っていく状態に比較的よく適応して
      いきます。そのため飼い主は、自分のペットが視力を
      失いつつあることに気が付かないことがよくあります。
      動物は視覚を失っても他の感覚でそれを補います。
      また、動物の諸感覚は人間の感覚に比べてはるかに
      鋭いため、人間が考えるほど不便ではないようです。

新生子眼炎
      生まれたばかりの子犬や子猫のまぶたは、
      生後7〜14日で開きます。
      新生子眼炎は、まだ開いていないまぶたの裏側に
      起こる感染で、深刻な病気です。
      新生子眼炎は、出生前、出生時または出生後に
      眼の中に細菌が入ることが原因で起こります。
      この病気になると、瞬膜が赤く腫れ上がり、痛みを
      覚えます。
      まぶたによって閉じ込められた幹線箇所は直接眼球に
      触れているため、眼そのものが損傷を受けて、
      視力が永遠に失われてしまうこともあります。

水晶体硬化症
      レンズ(水晶体)は、光線を曲げて、網膜上に焦点が
      はっきり合った像を作ります。
      動物は、年をとると水晶体硬化症(水晶体が硬くなる
      こと)になります。水晶体硬化症になっても盲目になる
      ことはありませんが、病気が進行するにつれて視力が
      だんだん弱くなっていきます。水晶体の外周部分では、
      細胞が常に新しい水晶体線維を作っています。
      新しい線維が現れると、古い線維は水晶体中央に
      向かって押されていきます。
      年を経るにつれて、古い線維が水晶体の中央部に
      どんどん押し込められていきます。
      圧縮された線維は水晶体の透明さにくもりを与えます。
      やがて、水晶体は灰色になり、かつては非常に透明で
      あった瞳孔もくもったようになります。
      水晶体硬化症になった動物でも、なれ親しんだ
      環境内であれば十分生活できる程度の視力が
      残っているのが普通です。
      水晶体硬化症のほかに本当の白内障にならない限り、
      治療をする必要はありません。

前房出血
      前房出血は、眼の内側の前方にある仕切(眼前房)内に
      血液がたまることで、これは深刻な病気の徴候です。
      眼の中で出血が起きる原因は数多くあります。
      ただし、けがや病気のある箇所が出血によって隠されて
      しまうため、正確な原因を突き止めることがなかなか
      できません。
      眼の内部の広い範囲にわたって出血があった場合は、
      盲目になるなどの深刻な事態を招きます。

デスメ瘤
      デスメ瘤は、特別な処置を至急必要とする深刻な病気です。
      デスメ瘤は、たとえて言えば、タイヤにあいた穴から
      チューブが突き出て、今にも破裂しそうにしている
      ようなものです。
      眼球の前面にある透き通った層である角膜は、
      4つの異なる層からできています。
      外側から3番目の層は、繊細で柔軟性があります。
      デスメ瘤は、損傷を受けた角膜の外側の層を
      突き抜けて出てきた、内側の層が作る薄い
      透き通った突起です。
      デスメ瘤は破れやすく、もし破れると、
      その眼は即座に深刻な
      視力障害を受けることになります。
      デスメ瘤は、角膜の深いところに潰瘍を生じるような病気
      や障害が原因となってできることもあります。

瞳孔膜遺残
      瞳孔膜遺残(PPM)とは、胎子期に瞳孔をおおっていた
      瞳孔膜の線維または断片が生後も残っていることです。
      正常な胎子では、瞳孔膜は出産直前になると消滅します。
      注意して見ると、まぶたが開いて間もない新生子の眼
      には瞳孔膜の小さな線維が少し残っていますが、
      通常は数週間のうちに消えて無くなります。
      まれにですが、この線維がそのまま残ってしまう
      ことがあります。虹彩と眼球前面の透明な層(角膜)
      の内側との間に瞳孔を横切るような形で残ります。
      PPMが水晶体(レンズ)の前面に貼りついて残ることが
      あります。PPMが角膜や水晶体に貼りついて
      いる箇所は、小さな白い斑点状になって現れます。
      この斑点の数があまり多いとペットの視力に影響を
      及ぼしますが、少ないうちはそれほど問題になりません。
      ある種類のペットでは他のペットよりもPPMが多く
      みられます。パッセンジー犬のPPMは遺伝します。

白内障
      白内障は、眼のレンズ(水晶体)やその外側を覆って
      いるもの(水晶体嚢)が異常に不透明に濁ってくることです。
      濁り具合は、小さな点ぐらいなものから、水晶体全体が
      濁るものまでさまざまです。眼のレンズは、ちょうど
      マーブルチョコレートのような形をした透明な組織で、
      虹彩と瞳孔のすぐ後ろにあります。
      角膜、眼房水、レンズ、硝子体は、光を屈折させて
      網膜上に映像を作ります。
      光を屈折させる働きの約80パーセントは角膜によって
      行われ、残りの20パーセントはレンズで行われます。
      白内障の原因としては、遺伝によるもの、代謝欠陥、
      外傷(けが)および老化などがあります。
      白内障のケースには、数日間でなるものから、
      数年かかってなるものまであります。

表皮嚢胞
      表皮嚢胞は、眼球の前面にできる腫瘍状の先天的な
      欠陥です。
      表皮嚢胞は、あたかも皮膚の一部を間違って眼球に
      貼り付けたように見えます。
      表皮嚢胞に含まれる組織は、正常な皮膚にみられる
      組織(毛、脂腺および通常の皮膚の層)などと同じ物です。
      動物が成長するに連れて、表皮嚢胞から生えてくる毛が
      眼に刺激(軽度なものから激しいものまで)を与えるように
      なります。表皮嚢胞は、眼に有害な刺激を与える
      だけでなく、視界を妨げるとともに、見た目にも感じの
      よいものではありません。
      ふつう、表皮嚢胞は大きくはなりません。
      大きくなる場合でも、その変化はほんのわずかです。

霰粒腫
      まぶたには、その外周に沿っていくつもの分泌腺の
      出口があります。
      これらのうちいくつかは、マイホーム腺(瞼板腺)と
      呼ばれるものです。
      マイホーム腺から分泌される液は、涙がまぶたの縁を
      越えて流れ出ないようにする働きをするとともに、
      眼球に常に湿り気をもたせて潤滑する役目をもって
      います。このマイホーム腺は時々つまったり、
      内部の圧力によって膨れ上がったり、炎症を
      起こしたりすることがあります。
      そうなると、まぶたに小さなはれ物ができます。
      これが、霰粒腫と呼ばれるものです。

鼻涙排液器官の障害
      鼻涙排液器官とは、涙の出てくる通路で、
      次の3つの部分からできています。
      1.涙点:涙点(涙管の出口)は全部で4つあり、
            左右のまぶたの内側の隅
            (まぶたの縁の内側)に2つずつあります。
      2.涙嚢:左右の眼に1つずつあります。涙嚢は、
            それぞれの涙点から出ている
            2本の管をつなぐ部分で、
            ここで1本になった管は少し太くなります。
            この部分が炎症を起こすことを涙嚢炎と
            いいます。
      3.鼻涙管(または単に涙管):涙管は2本あり、
            それぞれが涙嚢から鼻の内側の天井
            にあたる部分へとつながっています。
      鼻涙排液器官に起きる障害は、先天的な奇形
      (出生時の欠陥)、感染、異物(たとえば、
      植物の穂先や剛毛や種など)腫瘍などが原因で
      起こります。障害は、片方の眼だけに起こる場合も
      ありますし、あるいは両方の眼に起こることもあります。

ブドウ膜炎
      ブドウ膜炎は、虹彩、毛様体および脈絡膜
      (網膜と強膜の間にある眼球中層血管膜)に
      起きる炎症です。こうした眼球構造の主要な部分は、
      非常に敏感なところで、視力を得るために必要な
      数多くの機能を果たします。
      ブドウ膜炎には、次の3種類があります。
      1.前ブドウ膜炎:虹彩と毛様体を含む炎症。
      2.後ブドウ膜炎:脈絡膜の炎症。
      3.ブドウ膜炎:虹彩、毛様体、脈絡膜の炎症。
      この病気になる原因としては、炎症、感染、
      免疫介在性反応(複雑なアレルギー的な反応)、
      外傷などがあります。

眼の打撲傷
      眼の打撲傷(眼の打ち身)は、眼や眼の周囲の組織に
      加えられた打撃によって生じる傷害(けが)です。
      このようなけがを受けると、眼球の外側の組織の
      層から出血(出血の程度は、ごく軽いものから
      ひどいものまで)したり、あるいは眼が破裂して
      しまうこともあります。ときには、外側からみて
      わかるような徴候がほとんどないか
      まったくなくても、眼の内側にひどい傷ができている
      こともあるので、眼の打撲傷はどのような場合でも
      軽く考えることはできません。

網膜形成不全
      網膜形成不全は、網膜の発達に異常をきたすことです。
      これは、先天的な(出生時に存在する)病気で、
      その原因としては、ウイルス、栄養不良、胎子期に
      うけた怪我、照射(診断または治療の目的で放射線
      などの作用を受けること)や遺伝による影響などが
      考えられます。一般には、網膜形成不全は若いうちに
      発見されます。
      この病気になっても必ずしも失明するとは限りません。
      遺伝によってこの病気になる場合は、両方の親が
      この形質を遺伝的に持っていることになります。
      ただし、この遺伝形質の保有者であっても、
      病気そのものは発現しないこともあります。
      網膜形成異常に伴ってみられるその他の欠陥としては、
      白内障、網膜剥離、骨格奇形などがあります。
      この病気はどの犬猫腫にもみられますが、
      この病気が遺伝的に引き継がれるのは次のような
      一部の種に限られます。ベドリントン・テリア、
      スプリンガーおよびブリタニー・スパニエル、
      アメリカンおよびイングリッシュ・コッカー・
      スパニエル、シェットランド・シープドッグ、
      ロットワイラー、オーストラリアン・シェパード、
      ボルゾイ、毛の薄いコリー、ラブラドル・リトリバー、
      ハーレクイン・グレート・デーン。

盲目
      わらわれ人間にとって視力は非常に大切であるため、
      自分のペットが盲目であることが判ったときは、
      その心配や悲しみは並大抵のものではありません。
      人間にとっては、視力を失うことは自主的な行動の
      自由をある程度失うことを意味します。
      しかし、ペットが視力を失った場合は、
      視力以外の知覚によって不自由さが補われるため、
      われわれ人間が盲目になったときに受ける精神的な傷を
      受けることはありません。動物はそのすぐれた
      嗅覚(においの感覚)、聴覚(音に対する感覚)、
      触覚(さわって感じる感覚)を使って、
      盲目の人間よりもはるかに的確に周囲の様子を
      知ることができます。
      犬や猫は、自動車を運転したり、小説を読んだり、
      映画を見たり、あるいは自分の飼い主
      がどのように見えるか気にするなどということは
      ありません。ペットにとっては、飼い主がそこにいるという
      ことが感じられればそれで十分であり、ペットはそれを
      視覚以外の感覚を使って感じ取ることができるのです。
      われわれ飼い主は、ペットがものをみることができる
      ときでも、ペットの世話を焼いたり、守ってやったり、
      食事を与え、可愛がります。
      ペットの眼が見えなくなった場合でも、
      今までと同じようにしてやればよいのです。
      ペットは盲目になってもそのことにすぐに慣れて、
      自分がよく知っていて安全な環境にいる限りは、満足
      した生活を送ることができます。

流涙症
      流涙症(涙が出すぎる病気)になると、
      眼の下の部分がいつも濡れていたり、しみが付いた
      ようになります。
      こうした汚れは、見た目にも悪いばかりでなく、
      細菌の絶好の繁殖場所になるためペット自身にとっても
      悪い刺激を与えることになります。
      流涙症の原因としては、アレルギー、感染、異物、
      眼球が異常な場所に生えたまつげや周辺の体毛によって
      こすられるため、涙を排出する器官の欠陥や病気、
      先天的なまぶたの欠陥、体の他の組織
      に起こった感染などがあります。ひとつの原因ではなく
      いくつかの原因によって流涙症になることもあります。
      そのようなときには、完全に治すことは(不可能では
      ないにしても)非常に難しい場合もあります。
      ただし、ほとんどの場合は、治療すれば状況が良くなる
      ことはたしかです。

緑内障
      緑内障は、眼球内の圧力が危険なほど高くなる病気です。
      犬や猫が盲目になる一番の原因がこれです。
      眼の中の圧力は、眼の内部の液体(眼房水)の分泌
      と排出の微妙なバランスによって正常に保たれています。
      この液体の流れが止められると、眼の内部の圧力
      が危険な水準にまで高くなり(緑内障)、その結果、
      網膜が永続的に破壊されたり、その他の重要な眼の
      組織が損傷を受けることになります。
      緑内障にかかっている期間が長くなると眼球が大きく
      なってくることもあります。
      緑内障になる原因としては、生まれつきの欠陥
      (おそらく遺伝による)によって眼房水の排出経路が
      ふさがること、炎症を伴う病気、外傷、腫瘍、
      瞳孔の遮断(さえぎられること)、レンズ(水晶体)の
      傷害などがあります。


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