内部寄生虫の病気
回虫症
回虫は、犬および猫の腸に最もよくみられる寄生虫です。
ペットが回虫に感染するのは、回虫の卵や幼虫を含んだ
土や便を飲み込んだり、回虫のいるげっし類、取り、昆虫
などを食べたりすることが原因です。
子犬や子猫は、まだ母体にいるときに母親を通じて
感染することがよくあります。飲み込まれた回虫の幼虫は、
身体の中を移動して腸にたどり着き、そこで成虫に成長します。
雌の成虫は腸内で卵を産み、その卵は便とともに体外に
排出され、環境中で幼虫になります。
回虫症の診断を行うには、便のサンプルを顕微鏡で検査して、
回虫の卵がないかどうかを調べます。
公衆衛生上の配慮
人間が回虫の幼虫(成虫ではありません)に感染する
可能性がまったくないわけではありませんが、
回虫の幼虫を含んだ土や便を食べなければこの病気に
ならないため、衛生に気を付けてさえいれば心配はありません。
子供を動物(特に子犬や子猫)と遊ばせるときは、
清潔にすることを教える必要があります。
人間が感染しないようにする最も良い方法は、
ペットの便を定期的に検査するとともに必要があれば
治療を行って、ペットから回虫を駆除してしまうことです。
鉤虫症
鉤虫は、犬、猫およびその他の動物の腸に比較的
よくみられる寄生虫です。成虫は小腸に寄生し、
成虫が産んだ卵は便に混じって体外に排出されます。
鉤虫症の診断を行うには、便を顕微鏡で検査して、
卵があるかどうかを調べます。動物の鉤虫感染は、
鉤虫の卵や成虫が付いたものを食べたり、
幼虫が皮膚や足の裏から体内に入ったり、
あるいは胎子期に母親の子宮内で幼虫をうつされたり
することが原因です。
鉤虫の幼虫を食べてから糞の中に鉤虫の卵が出てくる
までには、15〜26日かかります。
宿主の血液を吸って生きる鉤虫は深刻な貧血を
引き起こすことから、腸内の寄生虫の中でも最も危険な
ものの1つにあげられています。
衰弱していたり栄養不良になっている若い動物が
鉤虫に感染すると、突然虚脱状態に陥ったり、
死に至ることがあります。
より抵抗力の強い成犬などの場合は、
病気の進行は遅いものの徐々に衰弱が進んでいくような
症状を呈します。鉤虫がいる動物は、体重が減り、
頻繁に下痢をしたり、コールタールのような便や血が
混じった便をします。
公衆衛生上の配慮
鉤虫の幼虫は人間の皮膚から体内に侵入して、
皮膚幼虫移行症(またはクリーピング病)と呼ばれる
皮膚病の原因になる可能性があります。
この病気に感染することは滅多にありませんが、
鉤虫がいるペットに触ったあとに皮膚に発疹ができたときは、
必ず医師に診てもらうようにしてください。
コクシジウム症
コクシジウム症は、コクシジウム類と呼ばれる原虫によって
起こる寄生虫疾患です。
コクシジウム症は、この原虫に感染している便に触れる
ことによって他の動物へと拡がります。
この病気によって最も影響を受けるのは若い動物や弱った動物で、
その結果、血の混じった下痢をするようになります。
ジアルジア症
ジアルジア症は、人間や犬や猫やその他の動物がかかる
腸の病気です。
ジアルジアと呼ばれる原虫によって汚染された便、
食物、または水を摂取した動物が、この病気にかかります。
ジアルジアは主として小腸の上部に寄生します。
ジアルジアに感染した動物はまた他の動物に感染できる
嚢子(シスト)と呼ばれるものを便と一緒に体外に排出します。
このようにして感染が繰り返されます。
ジアルジア症の診断は難しい場合があります。
そのため、シストを見つけるには、多くの便を何回も顕微鏡
で検査しなければなりません。
ジアルジアに感染したときに最もよくみられる症状は、
色の薄く脂っぽくときには血の混じった便を伴う下痢が
続くことです。腸に寄生したジアルジアは、そこで行われる
栄養吸収を妨げ、傷つきやすい腸の内壁に損傷を与える
とともに消化を妨げます。
公衆衛生上の配慮
ジアルジアは、人間の腸にも比較的よくみられる寄生虫です。
ジアルジア症にかかっていると診断されたペットがいる家庭では、
家族全員がそれぞれ衛生に十分に注意するよう心がける必要が
あります。ペットの便もきれいに掃除して、
適切に処理しなければなりません。ペットの便の処理は子供には
やらせないようにしてください。
条虫症
条虫は、犬や猫の腸で見つかる寄生虫の1つです。
条虫の身体は、頭部といくつもの体節から成る長い平たい
胴体を持っています。体節の部分は動物の便と一緒に体外
に排出されますが、頭は腸の内壁についたままで残り、
そこから新しい体節ができてきます。ペットが条虫に感染しても、
特にこれといった病気の症状が現れないこともありますし、
消化器障害が起きたり、食欲がなくなったり、
毛や皮膚の状態が悪くなったり、痩せたり、腹部のかすかな
不快感が生じたりします。
条虫に感染しているかどうかを診断するには、
ペットの便、寝床、肛門周囲の毛に条虫の体節がないか
を調べます。条虫の卵は検便では発見できない場合があります。
便に混じって体外に出てきたばかりの条虫の体節は黄色
または白っぽい色をしており、長さは6ミリ程度で、
伸びたり縮んだりしています。乾燥するにつれて、
キュウリの種または米粒のようになります。
条虫は、ペットからペットへ直接うつることはなく、
その間を媒介する宿主を必要とし、その宿主の中で成長します。
中間宿主としてよくみられるのは、ノミやハツカネズミ、
ドブネズミ、リス、ウサギなどの小動物です。
糞線虫
糞線虫は、猫、犬、狐(まれに人間)の身体の中で見つかる
小さな線虫です。糞線虫は、長さが1.5ミリほどで、
腸の内壁に住み着きます。糞線虫の卵は、腸の中で孵化して
幼虫になります。便とともに環境中に排出された幼虫は、
口や皮膚から侵入することによって、再び宿主となる動物に
感染します。糞線虫症を診断するには、検便をして幼虫を
見つけます。正確な診断を行うために、便のサンプルには
泥などが付いていない比較的新しいものを採るように
しなければなりません。糞線虫に感染すると、食欲減退、
せき、目やに、下痢などの症状が現れます。
この病気になると他の感染症に対する抵抗力が弱くなります。
また、犬のジステンパーとよく似た症状が現れることもあります。
ジステンパーにかかると糞線虫症が起こる可能性もあります。
公衆衛生上の配慮
人間が糞線虫の幼虫に感染するのは、足の皮膚から体内
に侵入するケースがほとんどです。これは、幼虫に汚染された
地面の上を裸足で歩くことにより起こります。
体内に侵入した幼虫は、血管を伝わって肺に移動し、
2〜3週間以内に、便に混じって体外に排出されます。
鞭虫症
鞭虫は、大腸および盲腸に寄生する細く小さな寄生虫です。
盲腸は、小腸と大腸の間にある一端が閉じた管状の部分で、
人間の身体にある盲腸によく似ています。
鞭虫という名前はその形が「鞭(むち)」に似ていることから
付けられたものです。鞭虫の体は、細くきゃしゃで、
鞭のように尾の先端にむかって徐々に細くなっています。
鞭虫は非常に小さいので、鞭虫は便の中からなかなか
見つかりません。体内に鞭虫がいると、下痢を起こしたり、
血の混じった便をしたり、健康状態が悪化する原因になります。
ごくまれにですが、直腸から大量の出血が起こることもあります。
診断は、便を顕微鏡で検査して行います.何回も検便して
はじめて鞭虫の卵が見つかることもあります。

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